2010/05/10

禁煙法で、授動喫煙の暴露と冠動脈疾患の入院が減少

疫学批評というサイトがあります。

そこの最新記事が

禁煙法で、受動喫煙の曝露と冠動脈疾患の入院が減少。


以下に紹介します。
文末にある「法律や条例の形で受動喫煙の防止を図る世界の潮流の中で、法律を作らず一官庁の通知による行政指導で済ませようとする日本の現状は、いびつと言わざるを得ない。」には大いに賛同します。
飲食店での野放図な喫煙。禁煙にしたい店主も多いことでしょう。ここは行政に頑張って貰うしかありません。

以下引用

公共の場所や職場での喫煙を禁止または制限した法律や条令の効果を調べた論文50件をまとめて総合評価を行なったところ、受動喫煙への曝露は減少し、心筋梗塞などの冠動脈疾患による入院等も減少した。論文はCochrane Library 4月号に掲載された。

研究では文献検索により50件の論文を選び出した。ランダム化比較試験はなく、法律や条例の施行前後を比較した追跡調査が24件、断面調査を繰り返した研究が18件、法律等の施行されていない地域と比較した研究が13件だった(一つの論文で複数の研究手法を用いている場合があるので、論文の件数より研究手法の数が多い)。

研究は13カ国の国や自治体で行なわれていた。50件の論文のうち、40件はレストランやバーを含めて全面禁煙を義務付ける法律等の効果を検証し、10件は一部分煙を認める法律等の効果を調べた。

受動喫煙の曝露を調べた31件の論文の全てで、法律等の施行により曝露が減少した。喫煙者の喫煙率や喫煙量の変化を調べた論文は23件あったが、低下を示すものと示さないものがあり結果は一致しなかった。

24件の論文が健康に関する指標の変化を調べていた。呼吸器症状を調べた12件のうち10件で、法律等の施行後に症状が改善した。これらの研究は全て、バーやレストランなどの従業員を対象に行なわれていた。眼・鼻・喉への刺激症状を調べた10件の研究では、症状の改善が見られた。

急性心筋梗塞などの冠動脈疾患の入院等を調べた12件のうち、急性心筋梗塞の入院数の変化を調べた10件すべてで、法律等の施行後に入院数が減少した。他の1件では冠動脈疾患による死亡が減少し、別の1件では非喫煙者の入院後の経過が改善した。

⇒冠動脈疾患の入院の変化を調べた12件の全てで改善が見られたが、改善が見られた研究だけが公表されている可能性があることには留意する必要がある。とはいえ、法律や条例の施行により受動喫煙の曝露が減ることは、今回の総合評価ではっきり示されたと言えるだろう。

日本では本年2月25日、公共の場所での全面禁煙を求める
厚労省の局長通知が出された。しかしこれは本来、一行政官庁の通知の形ではなく、国会の議決を経た法律として成立させ施行すべき性質のものだろう。税収減少への懸念からたばこ規制の強化に消極的な財務省に、厚労省が遠慮して通知に留めたのかも知れない。逆に厚労省から見れば、通知の形でも全面禁煙を要請する文書を出したことは、現在の財務省と厚労省の力関係の中で、精一杯の努力だったのかも知れない。

とはいえ、法律や条例の形で受動喫煙の防止を図る世界の潮流の中で、法律を作らず一官庁の通知による行政指導で済ませようとする日本の現状は、いびつと言わざるを得ない。

引用以上

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