2010/06/02

歯磨きの回数が少ないと、心血管疾患のリスク上昇。

疫学批評というサイトに興味深い記事が載っていました。
歯磨と心血管疾患の関係です。

以前、両足が腫れている患者さんに精密検査を勧めたところ、心臓の弁に異常があり、
そこに歯周病菌が繁殖していたと判明。手術をされた方がありました。

今回の記事はそのことを思い出させます。

スコットランドの35歳以上の男女11,869人を平均8.1年追跡したところ、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(555例)のリスクは、歯磨きの回数が一日2回のグループと比べて、一日1回のグループで1.3倍、一日1回未満のグループで1.7倍と上昇した。論文はBritish Medical Journal電子版に2010年5月27日掲載された。
対象者の平均年齢は50歳。歯磨きの回数は、一日2回が71%、1回が24%、1回未満が5%だった。発症した心血管疾患555例のうち74%(411例)は、急性心筋梗塞などの冠動脈疾患だった。
対象者の半数弱(4,830人)で、全身の炎症の指標(C反応性蛋白とフィブリノーゲン)を測定した。すると、歯磨きの回数が少ないほど、二つの血中濃度は高くなる結果だった。
著者らは、歯磨きの回数が少ない→歯周病のリスクが上昇→細菌感染の持続→低レベルの全身炎症の持続→動脈効果の進展→心血管疾患リスクの上昇、というメカニズムを念頭に置いている。そして、歯周病や炎症指標と心血管疾患の関係はこれまでにも報告されているが、歯磨きの回数と心血管疾患リスクとの関係を大規模な集団で示したのは、今回が初めてと述べている。
その上で著者らは、歯磨きという健康行動と心血管疾患のリスク上昇との関係が、じっさいの因果関係を示すものか、見かけ上の関係に過ぎないかを区別するために、さらに研究が必要と考察している。
⇒今回の分析で、心血管疾患のリスクの上昇は、喫煙が2.4倍、高血圧が1.7倍、糖尿病が1.9倍だった。したがって、一日1回未満の歯磨きによる1.7倍というリスク上昇は、これらの確立された危険因子と同じ程度のものだった。
そのため、今回の結果が今後確認されれば、一日2回の歯磨きは、相対リスクの大きさという点で、禁煙や、高血圧と糖尿病の予防に匹敵する、予防因子となるかも知れない。そうした可能性を伺わせる興味深いデータだ。

2 件のコメント:

signaless さんのコメント...

歯周病菌が心血管などにも悪さをするなんて知りませんでした。驚きです。口の中の清潔だけでなく、身体全体にも関係してくるのですね。

游氣・ゆうき さんのコメント...

コメントありがとうございます。
身体はまるごとでひとつ。
意外なところで関連しあっていますね。