2012/05/12

ケアマネージャーの賃金


厚生労働省のHPに

第1回介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会資料



という資料が掲載されています。

その中で俗物の私が興味を抱いたのは当然その収入状況です。
私はケアマネージャーをほんの少しやっていますが、これは私の個人会社の大赤字部門。もっともこれは私の努力不足ですから何の参考にもなりません。そこで正確な資料に当たって一般的な数字を見てみましょう。

以前から介護関係の賃金はすべての産業の平均と比して月に10万円安いと言われていました。この資料はそれが本当であることを明確に示しています。下の資料はその38ページです。

下半分の「ケアマネージャーの賃金」と書かれたところを御覧下さい。その左側は平成23年度の厚生労働省の調査による賃金。緑に塗られた項目が産業全体の平均額です。約32万円ですね。
ケアマネージャーの項目にも薄緑色のラインが引かれています。26万円台。平均より6万円ほど安いことが分かります。一番低いのはホームヘルパーと福祉施設介護員で約21万円。確かに産業平均の32万円より11万円も低額になっています。

その右の欄は平成22年度(財)介護労働安定センターの資料ですが、ここでは介護支援専門員つまりケアマネージャーの平均賃金が25.5万円、訪問介護員は19万弱、介護職が19.6万円という数字になっています。

これから超高齢化社会になるので介護は本当に必要な仕事になってきます。その上、介護業界は衰退している製造業の過剰労働の受け皿となる巨大産業でもあります。しかしその収入は半分が税金、残りの半分が国民の負担という決められたサイズのパイであり、各事業所の努力によってそれを大きくすることはできません。頑張って収益を増やそうにもその金額は国によって決められていますから企業努力によって経費を削減しながら事業所を維持するしか無いのです。それがこの低い賃金に現れているといっていいでしょう。

先日訪問した方から
「ケアマネージャーの仕事は儲かってしょうがないでしょう」と聞かれました。なぜなら介護は大切な仕事で国が維持しているからだというのです。私はその方の家に月に1から2度ほど訪問し、プランを立て、書類を区役所と事業所へ送り、ひと月の実績を支援センターへ送るという実務を行いますがその報酬は要支援の方ですから一ヶ月3500円ほどです。要介護の方で月10000円か13000円。しかも39人を限度とし、それを越えると半額ほどに減算となります。頑張っても40万円くらいしか収入が得られない仕事ですから、経費を引くと25万前後という給料になることが理解できますね。

近年、看護職からケアマネになる人が激減しています。先の資料を見れば分かりますが、看護職の給料は32万円、ケアマネになると6万円下がってしまいます。それに対して介護職からケアマネになる人は増えています。5万円くらい増額するからですね。お金だけで仕事をしているわけではありませんから、この数字だけで云々するのは失礼ですが、資本主義の中では給料は自分の人生の時間の値段でもありますから無視はできません。

ということで、こうした委員会ができて色々資質や教育など検討されるのですが、現場からはケアマネの資質向上のためにはもっと高収入を保証しなさいという意見がもっぱら囁かれているということ、この資料から多少はご理解いただけるでしょうか。







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