2010/05/22

按蹻導引5.22

手の少陰心経
2010/05/22


少陰心経
心経は心臓というより心。
精神的概念が強い経絡。
心は自分を中心化する。
中心化するとは脱中心化も可能でなければならない。
軸や丹田は中心化の身体意識。

軸エクササイズ
胃経上げから胃経打ち下ろし
四方打ち・・軸と丹田の養成

触れるエクササイズ
中心化から脱中心化
自分を溶かすイメージを相手に伝える
触る(さわる)・・・自分と相手が分節。客観、客体化する。
触れる(ふれる)・・・自分と相手が一体になる。生命共感。主観に溺れない。



游氣会
464-0850 名古屋市千種区今池五丁目3番6号サンパーク今池303号
052-733-2253

2010/05/19

「腕利き整体師」無資格治療の疑い 甲子園球児もケア

朝日新聞社の記事

昨日、整体師が無資格治療をした疑いで逮捕されたという記事がありました。

日本ではケガをさせなければ何の資格がなくても医療行為が可能なのです。
周囲を見回しても無資格のマッサージや整体、気功、カイロプラクティック、整膚などの治療院(無資格者が治療院と名乗ってはいけません)が一杯存在し、むしろ鍼、灸やあん摩・マッサージ・指圧師の資格を持っている人のほうが小さくなって営業しています。
有資格者には広告規制もあって地味な存在なのです。
資格のない人達は何の規制もありませんから広告も派手です(笑)。

今回はケガをさせたから逮捕されました。
昔、最高裁でケガをさせなければ職業選択の自由が保証されるので資格は要らないという判例が出ています。それ以来無資格者は大手を振って開業しているのですね。容疑者の「けがをさせなければ大丈夫だと思っていた」という供述から本人もそのこと自覚していたことが分かります。


また、世話になっている高校野球部主将の「部にとってかけがえのない人。治療してもらって良くなっただけでなく、人柄にも随分救われた」や、監督の「生徒も私も信頼していたからショック。今年、かかわってもらえないことはチームに痛手だ」という談話は資格の有無には関係なく腕が良ければ社会が容認するという事実を語っていて興味深いものです。


asahi.com

以下がその全文です。


医師免許がないのに医療行為である電気治療を長時間行い、けがを負わせたとして、千葉県警は18日、同県船橋市で整体院を営んでいた村田愛子容疑者(52)を業務上過失傷害と医師法違反(非医師の医業)の疑いで逮捕し、発表した。
県警などによると、村田容疑者は、「腕利き」と口コミなどで評判になり、多くのスポーツ選手が通院。一昨年夏と昨年夏の甲子園の出場校に同行し、球児のケアもしていた。整体院などから、東北から近畿にかけた10都府県45校の高校名が書かれた名刺を押収したという。
発表によると、村田容疑者は2008年11月から翌年12月にかけ、17回にわたって男女4人に電気治療器で電流を流す医療行為をしたほか、09年11月3日、4人のうちの1人の男性(74)の首などに約7時間電流を流して皮膚に全治約1カ月の低温やけどを負わせた疑いがある。
県警によると、電気治療は通常15分ほどだが、村田容疑者は7~8時間連続で流すことが多かったという。県警は、同容疑者が「患者から『長時間やると痛みが取れる』といった声があり、続けていた。けがをさせなければ大丈夫だと思っていた」と供述している、と説明している。同容疑者は、柔道整復師やはり・きゅう師などの資格もなかったという。
村田容疑者のケアを受け、昨夏、甲子園に出場した野球部の元主将(19)は「部にとってかけがえのない人。治療してもらって良くなっただけでなく、人柄にも随分救われた」。監督は「生徒も私も信頼していたからショック。今年、かかわってもらえないことはチームに痛手だ」と話した。

2010/05/16

食の安全と環境-「気分のエコ」にはだまされない

本のお薦め
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20100516#p1

似非エコを考える時、こうした本は重要でしょうね。

2010/05/13

テントウムシから生物多様性を考える  モーニングセミナー

第50回目の愛知学院大学モーニングセミナー。テーマは

「テントウムシから生物多様性を考える
―羽の模様をめぐる不思議な多様性の世界―」

講師は名古屋大学大学院生命農業研究科 資源昆虫学研究分野 新美輝幸先生

先生は羽(翅)のないテントウムシを生み出したことで有名です。

わたしは何故、生物農薬のために羽のないテントウムシが研究開発されたのか疑問でしたので、ぜひ理由を知りたいと興味を持って参加しました。

結論を言えば、昆虫が翅を持つための遺伝子を研究し、それを発見したことの実証のために行った結果生まれたというのが真相のようです。
しかも、DNAでなくRNAに操作を加えたので、この個体一代でその形質は終了、次の代に遺伝することは無いそうです。

わたしなりの理解を簡単に書くなら次のようになります。
DNA情報は一度RNAとしてコピーされます。そのコピーに修正を加えて生まれたのが羽のないテントウムシ。そのコピーは廃棄されますから原本であるDNAには何の修正も残らないということです。

本日の話はそのことと離れてテントウムシを話題として生物多様を考えるものでした。
綺麗な写真を用いて昆虫とは、テントウムシとは、さらに不思議な昆虫の擬態についてと話題豊富で、一時間がとても短く感じられました。

詳細は例によって愛知学院大学のHPへ。
当日の資料とビデオが全て掲載されています。

2010/05/10

祝モーニングセミナー50回

今朝の中日新聞掲載記事に見慣れた顔。
すわ、何かしでかしたか・・・・とは冗談で、愛知学院大学歯学部教授の福井先生の写真。
記事は愛知学院大学で月に一回行われているモーニングセミナーが明日で50回になるという内容でした。

モーニングセミナーはアメリカの大学で客員教授をされていた福井教授が、向こうでの体験を踏まえ、名古屋でも早朝の講習をしたいと自ら始められたものです。
時間が朝の7時から8時。講師は教授が自選し、直接お願いされるそうです。
会場や資料は大学のボランティア、講師もボランティア。受付も職員のボランティア。
全てがボランティアでセレンディプティな出会いを楽しもうというのがこの講座の趣旨です。これは福井教授のお人柄と相まってそのまま実現されていると感じます。

わたしはこの講座のファンで50回のうちおそらく40回ほど参加していると思います。
このブログやHPでも度々紹介させていただきました。

さらに聴講生が講師になるという特別企画のとき、わたしが講師に抜擢されました。この時まとめた資料「東洋医療入門」はその後の講習でも大変役立っています。

明日は羽根のないテントウムシを誕生させたことで知られる先生のお話。
新聞に大きく取り上げられたのでいつもよりずっと大勢の方がいらっしゃるかもしれません。

実はこの講座、参加費は無料にも関わらずバナナと牛乳がいただけるのです。
これも大学OBの歯科医院などからのボランティア。
早く行かないと無くなってしまうかもしれません。

愛知学院大学モーニングセミナー

禁煙法で、授動喫煙の暴露と冠動脈疾患の入院が減少

疫学批評というサイトがあります。

そこの最新記事が

禁煙法で、受動喫煙の曝露と冠動脈疾患の入院が減少。


以下に紹介します。
文末にある「法律や条例の形で受動喫煙の防止を図る世界の潮流の中で、法律を作らず一官庁の通知による行政指導で済ませようとする日本の現状は、いびつと言わざるを得ない。」には大いに賛同します。
飲食店での野放図な喫煙。禁煙にしたい店主も多いことでしょう。ここは行政に頑張って貰うしかありません。

以下引用

公共の場所や職場での喫煙を禁止または制限した法律や条令の効果を調べた論文50件をまとめて総合評価を行なったところ、受動喫煙への曝露は減少し、心筋梗塞などの冠動脈疾患による入院等も減少した。論文はCochrane Library 4月号に掲載された。

研究では文献検索により50件の論文を選び出した。ランダム化比較試験はなく、法律や条例の施行前後を比較した追跡調査が24件、断面調査を繰り返した研究が18件、法律等の施行されていない地域と比較した研究が13件だった(一つの論文で複数の研究手法を用いている場合があるので、論文の件数より研究手法の数が多い)。

研究は13カ国の国や自治体で行なわれていた。50件の論文のうち、40件はレストランやバーを含めて全面禁煙を義務付ける法律等の効果を検証し、10件は一部分煙を認める法律等の効果を調べた。

受動喫煙の曝露を調べた31件の論文の全てで、法律等の施行により曝露が減少した。喫煙者の喫煙率や喫煙量の変化を調べた論文は23件あったが、低下を示すものと示さないものがあり結果は一致しなかった。

24件の論文が健康に関する指標の変化を調べていた。呼吸器症状を調べた12件のうち10件で、法律等の施行後に症状が改善した。これらの研究は全て、バーやレストランなどの従業員を対象に行なわれていた。眼・鼻・喉への刺激症状を調べた10件の研究では、症状の改善が見られた。

急性心筋梗塞などの冠動脈疾患の入院等を調べた12件のうち、急性心筋梗塞の入院数の変化を調べた10件すべてで、法律等の施行後に入院数が減少した。他の1件では冠動脈疾患による死亡が減少し、別の1件では非喫煙者の入院後の経過が改善した。

⇒冠動脈疾患の入院の変化を調べた12件の全てで改善が見られたが、改善が見られた研究だけが公表されている可能性があることには留意する必要がある。とはいえ、法律や条例の施行により受動喫煙の曝露が減ることは、今回の総合評価ではっきり示されたと言えるだろう。

日本では本年2月25日、公共の場所での全面禁煙を求める
厚労省の局長通知が出された。しかしこれは本来、一行政官庁の通知の形ではなく、国会の議決を経た法律として成立させ施行すべき性質のものだろう。税収減少への懸念からたばこ規制の強化に消極的な財務省に、厚労省が遠慮して通知に留めたのかも知れない。逆に厚労省から見れば、通知の形でも全面禁煙を要請する文書を出したことは、現在の財務省と厚労省の力関係の中で、精一杯の努力だったのかも知れない。

とはいえ、法律や条例の形で受動喫煙の防止を図る世界の潮流の中で、法律を作らず一官庁の通知による行政指導で済ませようとする日本の現状は、いびつと言わざるを得ない。

引用以上
疫学批評というサイトがあります。

そこの最新記事が

禁煙法で、受動喫煙の曝露と冠動脈疾患の入院が減少。


以下に紹介します。
文末にある「法律や条例の形で受動喫煙の防止を図る世界の潮流の中で、法律を作らず一官庁の通知による行政指導で済ませようとする日本の現状は、いびつと言わざるを得ない。」には大いに賛同します。
飲食店での野放図な喫煙。禁煙にしたい店主も多いことでしょう。ここは行政に頑張って貰うしかありません。

以下引用

公共の場所や職場での喫煙を禁止または制限した法律や条令の効果を調べた論文50件をまとめて総合評価を行なったところ、受動喫煙への曝露は減少し、心筋梗塞などの冠動脈疾患による入院等も減少した。論文はCochrane Library 4月号に掲載された。

研究では文献検索により50件の論文を選び出した。ランダム化比較試験はなく、法律や条例の施行前後を比較した追跡調査が24件、断面調査を繰り返した研究が18件、法律等の施行されていない地域と比較した研究が13件だった(一つの論文で複数の研究手法を用いている場合があるので、論文の件数より研究手法の数が多い)。

研究は13カ国の国や自治体で行なわれていた。50件の論文のうち、40件はレストランやバーを含めて全面禁煙を義務付ける法律等の効果を検証し、10件は一部分煙を認める法律等の効果を調べた。

受動喫煙の曝露を調べた31件の論文の全てで、法律等の施行により曝露が減少した。喫煙者の喫煙率や喫煙量の変化を調べた論文は23件あったが、低下を示すものと示さないものがあり結果は一致しなかった。

24件の論文が健康に関する指標の変化を調べていた。呼吸器症状を調べた12件のうち10件で、法律等の施行後に症状が改善した。これらの研究は全て、バーやレストランなどの従業員を対象に行なわれていた。眼・鼻・喉への刺激症状を調べた10件の研究では、症状の改善が見られた。

急性心筋梗塞などの冠動脈疾患の入院等を調べた12件のうち、急性心筋梗塞の入院数の変化を調べた10件すべてで、法律等の施行後に入院数が減少した。他の1件では冠動脈疾患による死亡が減少し、別の1件では非喫煙者の入院後の経過が改善した。

⇒冠動脈疾患の入院の変化を調べた12件の全てで改善が見られたが、改善が見られた研究だけが公表されている可能性があることには留意する必要がある。とはいえ、法律や条例の施行により受動喫煙の曝露が減ることは、今回の総合評価ではっきり示されたと言えるだろう。

日本では本年2月25日、公共の場所での全面禁煙を求める
厚労省の局長通知が出された。しかしこれは本来、一行政官庁の通知の形ではなく、国会の議決を経た法律として成立させ施行すべき性質のものだろう。税収減少への懸念からたばこ規制の強化に消極的な財務省に、厚労省が遠慮して通知に留めたのかも知れない。逆に厚労省から見れば、通知の形でも全面禁煙を要請する文書を出したことは、現在の財務省と厚労省の力関係の中で、精一杯の努力だったのかも知れない。

とはいえ、法律や条例の形で受動喫煙の防止を図る世界の潮流の中で、法律を作らず一官庁の通知による行政指導で済ませようとする日本の現状は、いびつと言わざるを得ない。

引用以上

2010/05/09

昨日の按蹻導引教室

昨日は肩の骨格について触れながら勉強。
肩関節は肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、胸鎖関節、肩鎖関節からなり、狭義の肩関節は肩甲上腕関せです。
通常ここを動かそうとします。
しかし、腕の骨は鎖骨に連結し、胸鎖関節で胸骨と連なります。
つまり腕は胸から生えているのです。
また、背中側は肩甲骨。
この骨が胸郭上をスライドしています。
肩を90度動かすと、60度は腕の骨、30度は肩甲骨の動いています。
肩を動かすとき、肩甲骨を忘れてはいけないわけです。
そして連結しているのが胸骨。
腕は想像以上に長いのです

ということで、昨日は肩甲骨主体の運動をいくつか行いました。

最後には肺・大腸、脾・胃、心・小腸の経絡導引の細かなチェック。

仕事や怪我、不幸などで欠席が多かったのですが、充実した時間を過ごせました。

2010/05/04

楽々寝返り介助用具「カンコロ」


工夫によって介護が少しでも楽になるといい。
楽より楽しくなることはもっといい。


以下はasahi.comから


楽々寝返り介助用具「カンコロ」 県立広島大教授が開発
http://www.asahi.com/national/update/0504/OSK201005040088.html?ref=rss



寝たきりのお年寄りらをわずかな力で安全に寝返りさせられる介助用具を、広島県立広島大学三原キャンパスの大塚彰教授(福祉工学)が開発した。テコの原理を応用したアイデア作品で、高齢者が高齢者を世話する「老老介護」が増える中、重労働に疲れ果てる家族らの負担を減らすのが目的。特許申請はすでに終え、普及に向けて福祉用品メーカーなどからの協力を期待している。
 見た目は一枚の板を湾曲させたような形の木製用具で、長さは約50センチ、厚さ約1センチ。福祉関係者が寝返りを介助する際に手で行う動作を用具で代行するイメージをもとに、約2年前からアクリル板やベニヤ板で試作。製作費も安くして普及させられるよう考えた。名前は、簡単に体を転がすことができるという特徴から「カンコロ」にした。
 例えば、相手の右側から介助する時。用具を相手の左側から両太ももの間に差し入れ、用具の湾曲部を左太ももの裏側に当てる。もう一つの湾曲部は右太ももの表にくるようにして、右手で用具の上端を徐々に手前に起こす。するとテコの原理が働き、相手の下半身が回転し始め、上半身も引っ張られて体全体が介助者側に横向きになっていく。回転の負担がかからないよう相手の肩に手をそえておくのがポイントだ。用具をつかむ部分には穴を開けた。
 大塚教授は今秋、国内外の福祉機器を一堂に集めて東京で開かれる国際福祉機器展に設けるブースで「カンコロ」を公開する準備を進めている。「福祉用具を扱う企業が興味を持ってくれれば、うれしい」と話している。(藤井匠)

2010/05/02

夜おしっこに起きる高齢者、回数多いほど高い死亡率

これもasahi.comから。
この記事は夜間頻尿の高齢者に不安を与えます。
周囲の支えが必要になるでしょうね。
連休明け、きっと内科が混むと思います。
以下、引用。
 夜、おしっこに起きる回数が多い高齢者ほど死亡率が高い。そんな調査結果を東北大の研究チームがまとめた。2回以上の人の死亡率は1回以下の人の約2倍で、回数が増えると死亡率も高くなる。チームは死因を詳しく調べていないが、持病が悪化したケースのほか、トイレに起きて転んで骨折し、寝たきりになって死につながった場合が含まれているとみている。
 東北大の中川晴夫講師(泌尿器科)らが2003年から5年間、仙台市内のある地域に住む70歳以上の高齢者784人を追跡調査した。
 まず、1カ月間の平均的な夜間の排尿回数を聞いたところ、1回以下の人は425人だった。そのうち18人が調査期間中に死亡、2回以上の359人のうち35人が亡くなった。年齢や持病などの影響を考慮して分析したところ、2回以上の人の死亡率は1回以下の人の1.93倍だった。回数別では2回の人は1.59倍、3回2.34倍、4回以上3.60倍だった。
 中川さんによると、夜間の排尿回数が増える原因としては心不全や糖尿病、高血圧などが考えられ、そうした病気が死亡につながった可能性がある。夜間の排尿が2回以上の人の中には、死亡の直前に骨折で入院した人が数人いたことから、骨折が原因で寝たきりになり、全身状態が悪化して死亡に至ったケースもあったとみている。
 夜間の排尿回数が多いと骨折の危険が高まることは一部の専門家の間で知られている。夜間の排尿回数が多いと死亡率が上がることはスウェーデンの研究でも示されているという。
 中川さんは「夜間の排尿回数が多い人はかかりつけ医に相談してほしい」と話す。(野瀬輝彦)

漢方の効き目を科学する

asahi.comの記事です。
漢方の効果の検証が始まるのでしょうか。というか、今まで検証されずに使用されていたということも驚きです。
鍼灸も同様な研究対象になるかというと、こちらは個人技術ですから難しいでしょう。
こうした科学のメスが入って医学的根拠が確定されると、それらは現代医学の中に取り込まれていきます。それは制度の中での医療になります。
制度からはみ出した患者さんは、やはり以前と同じように根拠不明瞭ながらも他に方法がないから漢方や鍼灸を試してみる、という形で残っていくと思います。
鍼灸は「根拠がない」とか「迷信だ」とかと言われつつも、歴史のフィルターを掻い潜って命脈を保ってきました。ここには学と術の違いがあり、そう容易く定量化できない問題です。
以下、引用です。
 「漢方」がどんな人に効きやすいのか、医師が判定に役立てる指針作りに、厚生労働省研究班が今年度から乗り出す。慶応大病院、富山大病院など11施設が3年計画で数万人分の患者データを蓄積。体質や症状などと、効果との間に一定のパターンを見つけることで、科学的根拠の発見と治療の標準化につなげる。
 漢方は、西洋医学では治しにくい冷え性や、原因不明の体調不良の不定愁訴(ふていしゅうそ)など、様々な症状を総合的に治せると期待される。胃潰瘍(かいよう)などに効く柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、インフルエンザに効く麻黄湯(まおうとう)など、現在148品目に公的医療保険が適用され、年間の売上高は1千億円以上。医師の7割が処方しているという。
 しかし、その効果について、医師の経験や患者の主観で判断することが少なくない。西洋医学の薬に比べて、科学的根拠の研究、蓄積が少ない傾向がある。
 厚労省研究班(主任研究者=渡辺賢治・慶応大漢方医学センター長)は患者の体質や症状などに応じて、薬を選ぶ判断材料を探ることにした。患者が受診の際、症状とその程度を0~100のスケールで入力し、西洋医学と漢方の診断名や処方薬のデータも集める。慶応大ではすでに約5千件のデータを蓄積。にきびや汗を伴う冷え性は「漢方が効きにくい」ことが分かった。
 慶応大の渡辺さんは「経験に基づく、伝統医学の匠(たくみ)の技について、きちんと科学的な根拠を示したい」と話している。(岡崎明子)

2010/05/01

按蹻導引5・1


 心臓は最も大事な臓器だと考えられています。なぜなら常に動いており、もし停止したらそれで寿命は尽きてしまいますから。したがって生命に与える緊急性が他の臓器とは比較になりません。それは心臓が他の臓器のような化学的代謝作用を主とするものではなく、ポンプとして物理的に動き続けているからです。そのリズムはやはり物理的な電気刺激で行われています。それでペースメーカーという器械で心拍の調整が可能なのです。

 また、心臓は心の状態が如実に現れる臓器でもあります。驚いたり心配したりするとドキドキと拍動が速まり、心理状態と連動するように感じられます。さらに心臓が止まると人は死んでしまいます。それで心臓は古来から命の宿る内臓と考えられてきました。

心臓は専門的な検査を除けば脈拍や血圧など家庭でも簡単に測定できます。

血圧は心臓の収縮力を数字化したものです。数値が高い時は血液を強く押し出しているので、身体に何らかの血液の流れ難い状況、あるいはたくさんの血液を必要としているという状態を想定できます。また低すぎる時は心臓の力の低下を表します。一般的には最高血圧120、最低血圧80、脈圧40を理想としていますが個人差があります。

脈拍は心臓が打つ速さ。通常1分の間に70から80位打つのが普通です。マラソンやサッカーなど、心肺機能を鍛えた運動選手などは50を切ることもめずらしくありません。

心臓の重大な異変は非常な恐怖感を伴うともいいます。また心臓の発作時、胸や腹、背中、上肢などに放散する痛みや痺れが生じますから、腹痛など他の病気と勘違いすることもあります。いずれにしても心臓の異常を感じたら一刻を争いますから速やかに医療を受けなければなりません。

心臓の解剖図・・ここがわかりやすいです。

こころの象徴
 漢字の「心」は心臓の象形文字です。また西洋のハートの形も心臓の形を絵にしたものです。洋の東西を問わず、心臓に「こころ」を重ねていたことが分かります。手近な辞書をみます。

しん【心】
「(1)こころ。精神。(2)心のそこ。本心(3)ものの中央。」『広辞苑』

こころ【心】
「1 人間の体の中にあって、広く精神活動をつかさどるもとになると考えられるもの。
(1)人間の精神活動を知・情・意に分けた時、知を除いた情・意をつかさどる能力。喜怒哀楽・快不快・美醜・善悪などを判断し、その人の人格を決定するものと考えられるもの。(2)気持ちの状態。感情。(3)思慮分別。判断力。(4)相手を思いやる気持ち。また、誠意。(5)本当の気持ち。表面には出さない思い。本心
2 物事の奥底にある事柄。
3 心臓。胸。」『広辞苑』

 心臓は緊張したときなどどきどきと自覚できます。また恋をしているときはキュンと苦しくなります。そんな体験からこころと心臓が一体化して感得されていたと想像できます。

人体学的な心臓
解剖学では心臓の構造を明らかにしています。上下に二つずつの部屋を持ち、血液を肺と他の器官に分配して送り出しています。

心臓
循環器系の中枢器官。血液を血管中に押し出し循環させる働きをする。魚類では一心房一心室、両生類では二心房一心室、鳥類・哺乳類では二心房二心室に分かれる。人間の心臓は胸腔内の中央より左にあり、握りこぶしよりやや大きい。」『大辞林』

 心臓は胸の中心やや左よりにあります。手で触れたり耳を当てるとリズミカルに動いていることが分かります。心臓の大きさは握りこぶし大です。

 では、次に医学辞典で心臓を調べてみます。
心臓
「全身血液循環系の中央原動力。位置は前胸縦隔腔中、すなわち両肺に挟まれて正中線より左に偏して存在する。桃実状の筋質からなる中腔の器官で表面は心膜(包)と呼ぶ漿液膜に包まれ、内部は心室中隔、心房中隔、房室弁があって右心房、右心室、左心房、左心室の4腔部に分かれている。右心室と右心房との間にある弁膜は三弁に分かれており、三尖弁と呼ばれ、左心室と左心房との間にある弁膜は二弁よりなり、二尖弁、または僧坊弁という。左右各心室から動脈の出る部分に半月形の三弁からなる弁膜があり、大動脈基部にあるのを大動脈弁、肺動脈基部にあるのを肺動脈弁と称する。大きさは大体こぶし大、重さは成人で約300グラムである。」『医学大辞典』(南山堂)

 専門辞書は難しいので、子供用の図鑑を見てみましょう。

心臓
むかしの人は、ものを考える心が胸のあたりにあるのだと考えて、心臓という名まえをつけました。もちろん、心臓には、そのようなはたらきはありません。また、心臓の動きが止まると死んでしまうことから、いのちは、心臓にやどっていると考えた人もいました。これも、まちがいです。からだ全体が、うまくはたらくから生きていけるので、どの部分がだめになっても、いのちはあぶないのです。とはいうものの、たしかに心臓は、からだの中のいろいろな部分のうちでも、とくにたいせつなはたらきをしています。しかも、一生の間、少しも休まず、きそく正しくはたらきづつけているのです。
心臓のあるところ
心臓は、にぎりこぶしより少し大きく、胸のまん中より少し左にあります。
心臓はポンプ
心臓は、2つのポンプが組み合わさってできています。右がわに、血液を肺へ送るポンプ、左がわに血液をからだじゅうに送るポンプ。この2つが、いつも同時に、リズムを合わせてはたらいているのです。ふつう、1分間に70回。1回におよそ45ccの血液を、きそく正しく、血管へ送り出しています。」『人とからだ』(学研の図鑑)

 やはり子供用図鑑は分かりやすいです。昔から心臓にいのちやこころがあると思われたのはその動きが自覚できるからでしょう。心臓はそういう具合に実感しやすい臓器です。しかし実際には心臓は単なるポンプです。肺と全身。二つの方向に送り出す二つのポンプからできているのです。

東洋医療における心
中国では心臓を以下のように考えてきました。

心臓
神を臓する。
火の性質の臓として腎の陰に対して陽の働きをする。
五臓六腑を統括し、知覚・記憶・思考・意識・判断などの精神活動の支配、五臓六腑の調和を保つ。
生の本、君主の官。
血脈を司る。
脈を介して血を全身にくまなく運行させる。に開竅(かいきょう)している。
液は 志は喜 五行は火
経は手の少陰心経(てのしょういんしんけい)

 経絡を辞書で調べてみます。

心(しん)
「五臓中最も重要な臓器で、血液運行の中心であり、先天の陽気が宿る。『素問』に「心は神を蔵す」、「心は生の本、神の変ずるところなり」とあり、精神作用と関係することを強調している。また五臓の中心であるため、「心が衰えるとすべての臓器にも影響する」と述べている。心の病には、動悸、恐怖、不眠、胸苦しさ、汗がよく出るなどがあり、舌が赤くなる。心を保護するために心包があって、心の機能を補助している。」『鍼灸医学辞典』(医道の日本社)

 東洋医療の心は臓器としての心臓よりもむしろ精神の座としての趣があります。先に紹介した人体学の生理解剖とはかなり異なります。ここから東洋医療が素朴な解剖と現象観察、さらに体感的に確立されたことが窺えます。
 分かりにくい用語を同じ辞書から引きます。

神(しん)
「人の生命活動の根源になる2つの要素(神、精)のひとつをいう。神は心臓に、精は腎に宿るとされており、先天の気であるとともに、生後、取り入れられる飲食物などによって、補充されて、生命活動の根源的なはたらきをする。現代医学的解釈をすれば、神気とは神経系のはたらきを、精気とは内分泌系のはたらきを指すと考えられる。神気が充実していれば健康で各器官の機能が旺盛であるとされている。」『鍼灸医学辞典』(医道の日本社)

 中国での「神」は、いわゆる神様とは全く異なっていることに注意してください

次に心理学的影響の強い経絡指圧の本を紹介します。

「感情的な統制機能であるこころを意味し、外界の刺激を五感で受けて内界の適応作用に転換する働きをし、また体内気血の配分をして全身の働きを統制しています。そのような精神の状態は心臓症状として自覚されるので、昔はこころが胸にあると考えたのです。症状としては、疲れやショックによる神経緊張、心配ごと、胸のつかえがあり、舌がつれてどもったり、のみこむときに何かあたったり、つかえるような感じで、よく咳ばらいをするようになります。このためガンになったのではと、ガンノイローゼになる人もよくみられます。また心臓が常に気になったり、のぼせて顔がほてるとか手が汗ばむといった症状もあります。」『スジとツボの健康法』(増永静人著)

心経の働きは極めて心理的なものです。瞑想や熟考のときの姿勢を想像してください。仏像もキリストのアイコンもロダンの考える人も皆、肘を畳む姿勢です。肘を畳むと心身はコンパクトに集中することができるのです。

心の経絡

心経
「上肢の内側と胸をめぐる経脈で、所属する経穴はわずか9穴である。直接関与する臓腑は、心、小腸であるが、肺を貫くため、肺との関連性が強く、また間接的には、脾、肝、腎に関与する。また心は五行で君火とされており、心臓固有の障害に用いられる。経脈の性質は気血ともに多い。その流注は、脾経の分れを受けて、心臓に起こり、大動脈をめぐり、次いで腹部に下って小腸をまとう。1つの分れは大動脈から上行して、咽頭をとおって眼球の深部まで達する。またもう1つは肺にのぼって、脇の下に出て、手の内面後側をまわって、小指の末端(内側)に終わる。心経は、心臓の気質的疾患、動悸、息切れなど、心臓病に用いられる。」『鍼灸医学辞典』(医道の日本社)

 脇の下から上腕三頭筋の内側を通って前腕掌側の小指側を小指の先、薬指側まで走ります。
 心筋梗塞発作の人の訴える痺れの流れと似ているとされています。

古典に書かれた経絡の流注(流れ)
心中に起こり、心に属し、横隔膜を下って小腸を絡う。その支なるものは心より上行して咽を挟み目につながる。直行するものは、心より肺に上り、下って腋下に出て上腕内側を下り、肘の内側(少海穴)に出て、前腕内側小指側を通って手関節内側の豆状骨上際(神門穴)を経て、小指の末端橈側に終わり、手の太陽小腸経に連なる。



手の少陰心経に所属する経穴の一覧
HT1.極泉(きょくせん)
取穴部位:腋窩の中央、腋窩動脈拍動部
HT2.青霊(せいれい)
取穴部位:少海穴から極泉穴に向かい上3寸、上腕を外転外旋して取る。骨神経幹が走る。上腕動脈が通る。禁鍼穴
HT3.少海(しょうかい)
取穴部位:肘を半ば屈曲し、肘窩横紋の内端で、上腕骨内側上顆から橈側へ入ること5
要穴:合水穴
HT4.霊道(れいどう)
取穴部位:前腕前尺側にあり、神門穴の上15分、尺側手根屈筋腱の橈側、霊道穴から神門穴まで尺骨神経幹が走り、尺骨動脈が通る。
要穴:経金穴
HT5.通里(つうり)
取穴部位:前腕前尺側にあり、神門穴の上1寸、尺側手根屈筋腱の橈側
要穴:絡穴
HT6.陰郄(いんげき)
取穴部位:前腕前尺側にあり、神門穴の上5分、尺側手根屈筋腱の橈側
要穴:郄穴
HT7.神門(しんもん)
兵法:内尺澤(うちしゃくたく)
取穴部位:手関節掌側横紋の尺側にあり、豆状骨の上際で尺側手根屈筋腱の橈側
要穴:兪土穴、原穴
HT8.少府(しょうふ)
取穴部位:手掌部にあり、指を屈し、薬指と小指の指尖が手掌に当たるところの中間、手掌の第4・第5中手骨間
要穴:滎火穴
HT9.少衝(しょうしょう)
取穴部位:小指橈側爪甲根部、爪甲の角を去ること1
要穴:井木穴







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