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2021/11/17

ホームページ移行

 9月1日からGoogleの意向でホームページの仕様が変わっていました。

引越をしていなかったのでホームページが観られなくなっていたようです。

急いでテキストだけのものを作りました。

https://sites.google.com/view/office-mishima/home


2020/08/12

メキシコから

 

2009-01-28の記事。

メキシコで開業と結婚をしたF君に書いた短い文章です。

以下に紹介します。

昨日、施術中突然の来訪者。エンタランスに立っている様子がカメラに写ります。

「以前お世話になったFです」

記憶がありません。

ドアを開けたら、以前盲学校で鍼灸を学びながらここへ出入りしていたF君。誰かが一緒です。

続いて入ってきたのはとても美しい女性。

F君は鍼灸学校を出た後、近くの個人病院に就職したはずでした。

ところが今目の前にいる彼はメキシコで鍼灸院を開業し、現地の女性と結婚したといいます。驚きました。実に7年ぶりの来訪です。

「どうしてメキシコに?」

「あれからいろいろありまして、でも、先生のお陰でこうして元気にやっています。彼女と知り合うこともできました」

「ぼくのお陰? なぜ?」

「先生はおっしゃいました。せっかく開業できる正規の資格を手にしたのだから、自分で苦労してみることも価値があるよと。確かに病院に勤務すると安定しています。それでこのままでもいいかなと思っていましたが何か物足らない。そのとき、メキシコのへき地医療のボランティアの話があって出かけたのです。そのまま現地が気に行って住み着き、大変な日々ですが今はメキシコシティーにオフィスを構えることができました。口コミで患者さんもきて頑張っています」

意外な話でした。苦労しなさいと言ったのか言わなかったのかこちらは無責任ですから覚えていません。しかし、そんな何気ない一言を心の奥に秘め、行動し、実現し、こうして感謝の言葉を述べにわざわざやってくる。

何とも感動的なことでした。

文化の違う国、保険制度も確立しておらず、医師にかかることは大変な経済的負担があるそうです。日本で開業していれば難しい患者は医師に丸投げできますが、メキシコでは医師にかからないので奥にどんな病気が潜んでいるか分かりません。それは怖いことだとF君は言います。

戦前、医療制度が確立せず、また西洋医学も抗生剤を持たない時代、鍼灸の先輩方は鍼と艾だけで結核やガンにも立ち向かっていました。

まさにF君の立場はそうです。

困難と遣り甲斐は正比例するものかも知れません。

頑張って欲しいものです。

F君、これを読んでいますか。

言い忘れましたが、最新の鍼灸医学書もいいですが、戦前戦後に書かれた代田文誌先生の『鍼灸真髄』などは結核などの難病と対峙した記録に満ちています。古いが故に参考なると思いますよ。


2020/08/11

イチロー選手はなぜ200本以上の安打を打てるのか

 イチロー選手はなぜ200本以上の安打を打てるのか

2006-08-11に書いた記事です。丁度14年前の今日です。

このエントリーは私のブログで不動の一番人気でした。もちろんイチロー選手の人気のお陰です。内容は愛知学院大学モーニングセミナーで聞いた話です。私見も交えた粗雑なまとめですが以下に再録します。

8月8日火曜日、愛知学院大学モーニングセミナーを受講しました。今月で5回目ですが夏休みのためか特別に2時間枠。前半を名古屋市立大学学長で医学博士の西野仁雄先生の講演「大脳生理学的解析から考える」。


後半は元中日ドラゴンズ監督で名二塁手として鳴らした高木守道氏が参加されて「理論と実践との対話」。


テーマは「イチロー選手の活躍を通して、わたしたちの脳の仕組みはとのようになっているのか?脳はどのように働いているのか?脳の働きを盛んにする(強くする)ことができるのか?」 大変に興味深い内容でした。


当日頂いたレジュメからの抜粋と聞きかじりをここに紹介いたします。学術的な部分はレジュメからで、ところどころにある感想めいた文はわたしの感慨とか考えです。論文ではないので、その差異が明確になっていません。申し訳ありません。格調高いところは西野先生のお話と思ってください。


脳の話


野球はボールを見て反応します。


それは視覚入力 視覚野 運動野 筋収縮という反応でその速度は約130から200ミリ秒。


それに対して身体の動きは体性感覚 運動野 筋収縮でその速度は60から130ミリ秒。

身体反応の方が約半分の速さで行なわれますから、ボールを見て反応しても十分打てることになります。それらを磨いてイチローが存在します。

イチローはどうしてあんなによくヒットを打てるのか?

どうしてレーザービームの球を投げれるのか?

どうしてあんなに速く走れるのか?


イチローは父親によると子どもの頃から「やんちゃで大の負けず嫌いでがんこ」だったそうです。その遺伝的特質に加えて小学三年から中学三年まで高校生以上の練習を1年に363日行なっていました。


しかもその内容は

ボール球は絶対に打たない・・・・選球眼が養われた

毎日テイバッティングを行なった・・・柔軟性が養われた


その他豊富で質の高い練習によって「努力、持続、忍耐力、集中力、意志、感動、自信、目的、将来設計」が形成されました。

既に六年生のとき、将来プロ野球の選手になると作文に書いています。

「ぼくの夢は、一流のプロ野球選手になることです。そのためには、中学、高校で全国大会に出て、活躍しなければなりません。活躍できるようになるには、練習が必要です。ぼくは、その練習には自信があります。(中略)そしてその球団は中日ドラゴンズか、西武ライオンズが夢です。ドラフト入団でけいやく金は、一億円以上が目標です。」


六年生にしてここまでしっかりと具体的な目標を立てていることには驚かされます。しかもそれを実現していますから。


再び脳の話

脳は使えば発達します。

イチローは小さい頃から野球のための身体と脳を上手に使って今日があるのでしょう。持って生まれた才能だけではそれを開花させることは無理なようです。

ネズミの実験で、豊かな環境(色々な玩具などが置いてある)で飼育すると、神経細胞の新生が高まり、新たな環境への適応性が高まるということが確かめられています。つまりイチローもチチロー(イチローの父親の愛称)の指導で一生懸命的確な練習を続けたからこそ超一流の野球選手になれたのです。

脳には神経幹細胞が存在し、70~80歳になっても、たえず新しい神経細胞を供給しています。

脳は大きな可能性をもっていて、使えば、使うほど、活性化され、よく働くようになる。


イチローは天才か?

イチローは類稀な素質を持っています。

反射神経 動眼視力 瞬間視力 それに加えて 練習の虫 努力の人

天才とは1%の才能と99%の努力(エジソン)

イチローは努力できる才能がある。

これは天才と呼んでいいでしょう。


このあと、同じく野球の天才である世界のホームラン王の一面が紹介されました。

王監督の座右の銘

1、まごころにそむいていませんか?

Have you not gone against sincerity?

2、言葉や行いにはずかしいことはありませんか?

Have you not felt ashamed of thy words and deeds?

3、気力がかけていませんか?

Have you not lacked vigor?

4、努力をおしんでいませんか?

Have you not exerted all possible efforts?

5、なまけていませんか?

Have you not become slothful?


世界のホームラン王は今日でもこの五つの反省を毎日行なっているそうです。人格者と目される王さんらしい話です。


以下、三島の意見ですから読み流してください。


上記の反省文を読んで、70歳以上の方ならピンとくることでしょう。これは当日西野先生もおっしゃっていましたが、元になっているのは旧海軍の五つの反省「海軍五省」です。今日の自衛隊にも継承されているとのことです。戦後、進駐してきたアメリカ海軍がこの文章を見つけて感心し、現在でも海兵隊で心の指針とされているのだそうです。知人で戦時、海軍工廠にいた方もすぐに気づかれました。


海軍五省

一、至誠に悖るなかりしか(しせいにもとるなかりしか)

Hast thou not gone against sincerity?

一、言行に恥づるなかりしか(げんこうにはづるなかりしか)

Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds?

一、氣力に缺くるなかりしか(きりょくにかくるなかりしか)

Hast thou not lacked vigor?

一、努力に憾みなかりしか(どりょくにうらみなかりしか)

Hast thou not exerted all possible efforts?

一、不精に亘るなかりしか(ぶしょうにわたるなかりしか)

Hast thou not become slothful?


王監督が野球人として生涯にわたって人格向上のために日々上記の項目で反省されることは素晴らしいことです。しかし、それとは別に少し腑に落ちない点があります。

それは「誰が、何のために、何を、どう反省して、どうしようとするのか」という問題です。

ここが欠落してこの五つの反省だけを持ち出すと人格を自分の予期せぬうちに、あらぬ方向に誘導、形成される恐れがあります。それが大日本帝国軍の行為であったことは到底忘れるこが不可能なことです。ここは美談として聞き流すことはできませんでした。


さて、脳の話に戻ります。


前頭葉を鍛えよう

前頭葉の働きは

意志 報酬の認知 感情のコントロール 将来に対する予測、計画

イチローの送球はそのスピードと正確さからレーバービームと称されます。それは単なる運動能力だけではありません。

イチローのレーザービームのためには「肩の強さ、コントロールの正確さ」に先立って、「準備状態と予測(イマジネーション)」が必要です。


イチロー談

「あのプレーに関しては見てから投げて、ではもう遅い。一番大事なのは背中でランナーとセカンドベースを感じること。見てないところで見えていないと、できないことはある」

これはまさに脳の機能を物語っています。

日本人がアメリカで野球をやろうと思ったら

イチロー曰く

「何よりも大切なことは自分で自分を教育できることだと思います。自分で自分をコーチできる、そういう能力。(中略)人のやることも自分のことのように捉えて、自分だったらどうするかといことを常に考えていられるかどうか。(コーチは自分の状態を知らないのだから、コーチを受けることはとても危険)だから、自分で自分をコーチできる能力が絶対に必要です。」

と、自己教育能力に触れています。


“自分で自分をコーチできる能力”とは

問題を設定(意識)する

思案し、考えめぐらす

これなくしてアメリカで野球をすることはできないということです。しかしこれはあらゆる分野にいえる事です。一流選手の自己分析能力の素晴らしさを感じます。

自分を高めていく 野球に対する取り組み方

 -完璧主義、徹底した自己管理-

イチローは試合の前に実に周到に根気よく準備します。

・本拠での試合なら約5時間前に動き始める入念なマッサージやストレッチ体操を約1時間行なう

・道具類(バット、グラブ、スパイク)をことのほか大切にする

同僚はそんなイチローを見てこういいます。

「あいつを見ているだけで、疲れてくるよ」

それに対してイチローは

「練習にもっと時間をかければ、ずっとよくなるのに」

まさに努力の人です。


ここから総括に入ります。

こころのもち方によって、脳を創り変えることができる

イチローはどうしてあんなによくヒットを打てるのか? 

才能(遺伝子)、性格

環境

繰り返す練習(努力)

意志

心のもち方

自分で自分をコーチ(目標を高く設定し、それに向って進む)

常に脳を鍛え、進化させている 自分らしさをみつける(個性)

やりたいことをみつける(目的)

自分の中にイチローを見つけよういっしょけんめいやる(努力)

チャレンジする(挑戦)

力をあわせる(協力)

ありがとうの気持ちをもつ(感謝)


脳 Brain は最もすばらしい創造物

・膨大な数の素子からなる

神経細胞、グリア細胞、ネットワーク

・大きな可塑性、適応性をもつ(柔軟である)

使えば使うほど、新生、発芽、シナプス効率の向上がおこる

・脳内には神経幹細胞が存在している

70~80歳になっても、神経細胞を補充し、機能を維持している

・常に進化する可能性をもつ

心のもち方によって、私たち自身の脳を作り変えて行くことができる

以上が西野先生の講演の骨子でした。


第二部は高木元監督による野球技術の話やご自身の裏話、野球界の知られざる話などで盛り上がりました。予定を30分過ぎても終了せず、わたしは仕事があるので残念ながら中座しました。


高木氏を横にして名古屋市立大学学長西野教授は対談をするはずなのに、拝見するところ一野球少年の顔に戻り、憧れの高木選手を熱く仰ぎ見る状態でした。

場内からも白髪の野球ファンが熱心に質問を飛ばしていました。ある人から高木さんはドラゴンズファンにとっては王、長嶋以上の存在だと聞いていましたが、なるほど、まさにそんな感じでした。

今回の講演は夏休みということで少年の参加を予測されたのでしょうか。

脳の機能とイチロー選手の活躍にからめて、少年たちに夢や希望を与える素晴らしい内容でした。

しかし残念なことに参加者は中高齢者中心で、子どもたちの姿は少なかったようです。それでも夢や希望は幾つになっても必要なもの。脳の機能は高齢になっても十分新生している事実は大変な励みになります。




2020/07/30

驚くしかない、3DAR

Google chromeの新しいサービス。

昆虫や恐竜、人体など検索して3Dの表示の告知があるる場合、それをクリックするとAR画面でリアルな画像が見られる。動きもリアルである。

試しにヘラクレスオオカブトとアゲハチョウ、ティラノサウルスを出してみた。

以下の写真を観て下さい。
実際には動きも魅力的です。











2020/07/29

句集『天職』を読んで下さいました。

同業の方が今年上梓した句集『天職』について読後感を書いて下さいました。

俳句などには興味を持っておられない方ですが、きちんと読んで下さいました。

2020/07/16

三島鍼灸指圧治療室開設35周年のご挨拶


三島鍼灸指圧治療室開設35周年のご挨拶

名古屋市千種区今池で開業して35年が過ぎました。自宅開業から数えますと40年になります。右も左も分からない今池の地でこれほど長く営業を続けられたのは多くの方の支えがあってのことです。心より感謝いたしております。

私もその間に年齢を加え、66歳となりました。9年前には大きな手術も経験しました。しかし今後も身体が動き、頭が働く限り頑張って参ります。

現在、新型コロナウイルスの影響が医療や経済、人々のメンタルに暗い影を落としています。それだからこそ三島鍼灸指圧治療室は今後も皆様の養生や健康の為に励んで参ります。今まで以上に感染症対策を丁寧に実施し、安心して利用できる施術所となれるよう努力致します。何卒今後ともよろしくお願い申し上げます。
 

予約に関して
電話にはなかなか出られません。留守番電話にお名前だけでも入れていただけるとこちらからかけ直します。
メールやFAX(東京番号ですがメールに添付されます)が助かります。

株式会社オフィス三島
三島鍼灸指圧治療室
〒464-0850 
名古屋市千種区今池5丁目3番地6号サンパーク今池303号室
Tel:052-733-2253
Fax:03-6368-9005
h-mishima@nifty.com
https://sites.google.com/site/ofisumishima/
三島広志

2020/07/03

父と暮らせば

井上ひさし原作「父と暮らせば」の朗読劇。
ネットで公開されます。

広島の原爆で父に助けられた娘。
父は自分のために死んだとサバイバーズギルトで苦しみます。
そんな娘を見かねた亡くなった父は。。。。。

演ずるのは俳句仲間の岡崎弥保さんとお仲間。
詳しくは以下をご覧下さい。

https://ameblo.jp/ohimikazako/entry-12608073496.html

2020/07/02

アーカイブスに俳句関係

私がアーカイブスとして利用しているココログに文章を保存しました。

俳句結社誌「藍生」に連載している「俳句とからだ 」第159号から第165回までと、俳句と韓国舞踊の融合を目指した金利惠さんの「俳舞」についてです。

よろしければお読み下さい。

http://h-mishima.cocolog-nifty.com/yukijuku/2020/07/post-843a7c.html

俳舞 金利惠、名古屋に降臨

俳舞 金利惠、名古屋に降臨
愛知 三島広志

二つの国を、二つの言葉を自在に行き来する舞姫。彼女がひとたび身を翻せば舞となり、地を這う風が空へと駆け巡る。思慮深く声を発すれば口唇から言葉が俳句となって零れ散る。彼女の身体は二つの国の歴史を個人史として受け止めつつ未来へと開く。舞と言葉は彼女の魂の、そしてもっと大きな何かの化身なのである。
(「俳舞」パンフレットより 三島広志)

プロローグ
二〇二〇年一月十六日。ついにこの日が来た。
金利惠さんの「俳舞」の名古屋での公演を支えるため、前年十月、名古屋在住で金利惠さん旧知の張・李夫妻、韓国古典芸能団主宰の蔡さんと酒向さん、韓国語学校経営の韓さんにより「ゆるやかな応援団」が結成され、俳句仲間として著者も加わった。月に一度集まり集客や当日の運営手伝いの相談をしてきた。

『俳舞』、それは俳句と韓国伝統舞踊のコラボレーションという雲を掴むような企画だった。人に紹介するにも難渋した。金利惠さんも一度話合いに参加し、その構想を語ってくれたが、具体的なものが想像できず、拝聴していたメンバーも些か困惑した表情だった。いたずらに日々が過ぎていく。うまくいくのか、開催できるのか。日韓の関係も戦後最悪と言われている。
そんな心配をよそに民族の団結や民族を超えた友情が作用した。チケットの売れ行きが上々であることが分かった時は全員ほっと胸をなで下ろした。最終的にチケットはほぼ完売。あとは当日混乱無く運営できれば大成功。

当日午後、無事この日を迎え心からの安寧を得た。開場前、期待と安堵の混じった気持ちで、会場のロビーから外を眺める。ホールのある九階の窓からは寒晴れの空のかなたに雪の御嶽山が輝いている。少し東に木曽の山脈。こちらも真っ白だ。普段はビルに埋もれてこうした山々を見ることはできない。
本番前、最後の打ち合わせで各自の役割などを確認しているうちに、寒晴れの空は徐々に暮れ、淡い闇が名古屋市千種区今池を包み始めた。ここ今池は戦後、焼け跡に闇市が立ち、民族が入り乱れるというカオスの中から出立した町だ。東西の交通の拠点として昼は会社や商店で賑わい、夜はやや癖のある飲み屋やライブハウスが林立する。この地で金利惠さんが舞うことの意味は、偶然の経緯ではあるが意味深い。いつしか窓外の白い山脈は漆黒の闇に沈み、ビルの灯りやネオンが瞬き始めた。
ロビーに溢れる開場を待つ人々を見ながら気を引き締める。人生初めてのチケットもぎりを担当することとなる。

開演
観客全員が席に着いたあと、密やかにロビーに現れた金利惠さん。客席後方のドアから入場するサプライズ演出のようだ。暗い会場に一条の光が舞手を射すと、会場には動揺と響めきが起こった。

杖鼓 (チャンゴ)は金利惠さんのご主人金德洙氏。韓国を代表するアーティストで、彼のことを知らない人は韓国にはいないという。時に優しく、時に激しく、舞に合わせ、舞を支え、舞と一体になって世界を構築していく。眼差しは慈愛一杯に舞手を見つめつつも厳しい。
「ぽんっ!」と空気を柔らかく切り裂く鼓の音。歌舞伎の囃子方仙波清彦氏の変幻自在な鼓が会場の空気をどんどん耕していく。太鼓の音が会場を一気に晴れの舞台に一変させる。金氏と仙波氏が互いの出方を見つつ緊迫感のあるジャズセッションを奏で舞台を盛り上げる。
柔和で上品な顔立ちの笛方、若い福原寛氏の澄んだ音色が会場に響き、その息吹が場内隅々まで染み通ってゆく。笛は呼吸そのものだ。聴く者の身体にイキを吹き込んでくる。
正歌(チョンガ)の女性は姜権洵さん。初めて聴く唱法だ。鈴を転がすソプラノのように美しい発声からさりげなくタンゴのカンテの嗚咽へシフト、一転してモンゴルのホーミーのような高声と低声を自在に操る力強く野太い声。実に不思議な発声であり、場内を感嘆させていた。

ユネスコ・アジア文化センター (ACCU)によると、韓国伝統舞踊サルプリチュムの動きには、オルヌムヒョン(控え目に緊張を解くこと)、メズムヒョン(感情を放出する前に一時的に呼吸を停止すること)、そしてプヌムヒョン(感情を放出して完全に緊張を解くこと)という三つの基本要素がある。また静中動(チョンジュンドン)すなわち静の全体環境の中に動がある。抑制された動作は、内なる感情や強い意志を反映し、その起源は古代に遡るとされる。

金利惠さんの舞。その身体は広く長い袂を広げると立方体(四角)、両手を天に伸ばすと円錐(三角)、回転すると球(円)になる。四角の安定、三角の方向、球の運動。視覚を通して観衆の気持ちを変転させる。音楽と伴に幾何学模様が会場を引き締め、観衆の感情を鼓舞する。美、哀切、喜び。間、静謐、豊穣。一挙手一投足が観客の身体に投影され細胞に漣が立つ。

 語るとき語らぬときも花の下
 ひらひらと夢に火照りぬ酔芙蓉
 鷄頭花胸の高さに佇ち炎ゆる
 旅人に風の峠の飛花落花

これら自作の俳句を朗詠し舞で表現する。言葉で世界を招聘し舞で世界を構築していく。

当夜の舞台で金利惠さんは胸の高さに抱いた深紅の鶏頭花を槌に持ち替えて砧を打った。砧は本来楽器ではない。洗濯物を鎚や棒で打って乾かしたり伸ばしたりする道具だ。衣板(きぬいた)が砧(きぬた)となったもので、鎚ではなく板のことである。

声澄みて北斗に響く砧かな 芭蕉

砧は秋の季語。古く前漢の蘇武の故事に繋がる。匈奴に捕われの身となった前漢(紀元前一〇〇年頃)の蘇武を心配する妻が夫の身の上を思いやり、砧を打って慰めたところ、その音が蘇武に届いたという中国の故事である。この故事は有名なもので、蘇武が雁の脚に手紙をつけて漢帝に送ったところから雁書の由来ともなっている。

 この故事に影響を受けたかどうか明確ではないが、藤原公任編集の「和漢朗詠集(一〇一三年頃)」に白居易の詩「聞夜砧」が掲載されている。

誰家思婦秋擣帛 月苦風凄砧杵悲
八月九月正長夜 千聲萬聲無了時
應到天明頭盡白 一聲添得一莖絲

秋の夜に女性が戦争に行った夫を思って砧を打つという漢詩である。この詩が蘇武の故事と結びつき、それを世阿弥が「砧」という能に仕立て上げたと言われている。

西より来る秋の風の吹き送れと間遠の衣打たうよ
夜嵐 悲しみの声、蟲の音、まじりておつる露涙、ほろほろはらはらはらといづれ砧の音やらん

 砧は韓国では一九七〇年代まで利用されていたようだ。中国、朝鮮半島、日本を繋ぐこの道具とそれに込められた思い。このテーマは金利惠さんの長年の課題だ。彼女の中には韓国と日本の歴史、社会、文化が混在している。さらにそれらを包摂するアジア文化圏。これらの象徴として砧は今後も表現されることだろう。

「俳舞」
「俳舞」は俳句の韻律や内容と舞や音楽とのコラボレーションという全く新しい試みだ。俳句は歌の一種である。歌は「(神に)訴う」が語源という説がある。感情や意思を言語にして訴えた。同様に、喜び、悲しみ、愛憎、祈りなどから自ずと身が動き出す。これが洗練され宗教儀式や芸術となったものが舞である。俳句も舞も、内面の感情や意思を言語あるいは身体動作として表現する。
金利惠さんは上演後のアフタートークで興味深いことを語っていた。「ひらひらと」は三拍子なのだという。あえて記述すれば「ひら○ひら○と○○」というリズムだろうか。それは韓国のリズムであり、伝統舞踊のリズムでもあるという。なるほど、言葉(俳句)も動作(舞)も彼女の内なるリズムから湧き上がってくるのか。だとすれば、言葉と動作を改めて融合させて「俳舞」としたのではなく、そもそも彼女の中で両者は本来一つのものなのかもしれない。

金利惠さんの企図はいったい何だったのだろうか、そしてそれはどこまで観衆に伝わっただろうか。俳句、舞、音楽全て完成されたレベルの高いものであったことは言うまでもない。洗練された舞や音楽が表現する美しさや切々たる思いは存分に伝わった。しかし、俳句朗詠と舞が生み出す重奏は内面世界の深みを十分表現しえただろうかと些かの疑問は残った。今回の目的はまさにここにあったはずだ。詩と異なり一瞬で終わる俳句朗詠。その言語世界と舞の綾なす世界、展開する美があるはずだ。そこが私には十分に見えなかった。しかし「俳舞」は端緒についたばかりの試みである。この新たな表現形態はさらに熟成していくことだろう。

エピローグ
慰労会はサービス精神旺盛で闊達なオモニの店で盛り上がった。
当夜を楽しみにしていた高校の後輩である観世流能楽師は最近俳句を始めたという。彼は賢治や中也をテーマにした新作能も創る精鋭である。賢治の「ひかりの素足」は死の世界と現世が交錯するまさに能の世界観に繋がる。彼は自らの世界を深め開拓しようという思いが金利惠さんと相通じたのだろう、すっかり俳舞の醸し出す世界と酒興に浸っていた。近い将来「俳能」などという試みも生まれるかもしれない。ここにもまた大きな世界が待ち受けている予感がある。私も酒杯を傾けながら様々な熾火の仄めきを確信して長い一日を終えた。

2020/06/14

愛知ケアマネ研究会より連絡


今年の愛知ケアマネ研究会は残念ながら新型コロナウイルスの影響で年間を通して中止となりました。

もう何年続けて参加しているか忘れましたが少なくとも5年以上は継続していると思います。

現在はケアマネをやっておりませんが情報のブラッシュアップのため参加しています。
この研究会はケアマネージャーに医学的な知識を伝えようとお医者さん達が様々な情報を披露してくださいます。また来年も開催されたら参加する予定です。

研究会は中止になりましたが中心で関わっておられる葛谷先生達の主催される動脈硬化学会の案内が届きました。 これはWebで行われるセミナーで誰でも視聴可能です。

ご興味のおられる方はどうぞ。


2020/04/29

Roby Facchinetti-私は生まれ変わるだろう、あなたは生まれ変わるだろう

知人から送られきました。

「ミラノ近郊で大変な数の死傷者が出たベルガモ、世界遺産があることでも有名な街ですが、そのベルガモの作曲家が医療従事者への支援と感謝の気持ちを込めてRinascero (復活=私は蘇る)という曲を作り、著作権をベルガモ市民病院に寄付しました。

Youtube等通じた再生のたびに、広告、著作権など、すべての収入がベルガモの医療崩壊を救うための寄付金となります。

一人でも多く、一回でも多くYoutubeで再生して広げていただくことが、現地支援になりますので、下記の情報を転送いただくだけでも、支援が広がります。イタリアの医療支援になりますので、もし宜しければ、他の方にもお伝え頂けたらと思います。」

2020/04/10

新型コロナウイルス感染対策として

お知らせ

三島鍼灸指圧治療室は施術所の施術及び高齢者施設への往療全て休止しています。

期間は4月5日㈰から5月6日㈭の予定です。

状況によって短縮もしくは延長する予定です。

ご不便をおかけしますが感染終息の第一歩です。

株式会社オフィス三島
三島鍼灸指圧治療室
三島広志

2020/03/29

三密を避けよう


一人一人が上記のことを根気強く守るしかありません。

今後懸念される肺炎患者爆発的発症による医療機関への負担を極力抑えましょう。

三島鍼灸指圧治療室は換気とアルコール消毒、施術者の体温管理など可能なことは実行しています。

しかし施術は上記の密閉・密接空間に相当します。
不要不急の症状(薬で管理できない強い腰や肩の痛み・ストレスなどから来る辛い肩こりなどの症状)でなければキャンセルして頂いて結構です。

今は世界中が耐えるときです。 

株式会社オフィス三島
三島鍼灸指圧治療室
三島広志

2020/03/10

施術所のコロナ感染対策


以下のポスターに書かれた通りです。

三島鍼灸指圧治療室は高齢者施設で施術を行う場合は従前より
マスクとグローブを用い、清潔に心がけていました。

現在は施術室での施術においても細心の注意と消毒を実施しております。

社会全体が集団免疫を獲得するまでまだまだ時間が掛かることと思います。
頑張って生活を維持していきましょう。

三島鍼灸指圧治療室
三島広志
 



2020/01/23

「俳句とからだ」転載

俳句結社誌『藍生』に連載している「俳句とからだ」の123回から159回までアーカイブスに取り込みました。

http://h-mishima.cocolog-nifty.com/yukijuku/

とりあえず投げ込んだだけですから段分けなど乱れています。
よろしければご笑覧下さい。

2020/01/20

2020/01/13

今後の予定

今年前半の参加を予定している主な講習です。

2月は自分が講師として名古屋市高年大学鯱城学園の講義を2コマ行います。

愛知ケアマネ研究会 毎月一回名大病院で開催されます。