2009/10/19

がんこな頭痛にご用心!   愛知学院大学モーニングセミナー

愛知学院大学モーニングセミナーに出かけました。
今回は第43回。
テーマは「がんこな頭痛にご用心!」―頭痛を軽んじていませんか?―
講師は名古屋市立大学大学院 医学研究科 神経内科学 教授 小鹿幸生先生。
内容はかなり高度でしたがきちんと整理されたお話で大変理解し易かったです。
例によって愛知学院大学のHPで資料、画像ともに公開してありますからそちらをご覧ください。

お話の中で改めて納得したことは

 頭痛を感じているのは神経や膜、血管であって脳自体は痛みを感じない
 脳細胞は毎日10万個死んでいるが、心配には及ばない。脳が半分に委縮するのに2000年以上かかる。
 痛みは警告である。
 慢性の疾患は脳の可塑性という柔軟な性質によってなかなか症状がでない。
 頭痛のほとんどは緊張型頭痛(40.1%) 片頭痛(36.0%) 群発頭痛(5.3%)である。

などでした。

 緊張型は肩凝りや目の疲れから生じる一般的なものです。マッサージや入浴が功を奏します。それに対して片頭痛は血管性の拍動のある痛みが特徴で入浴やマッサージでは悪化することがあります。
 群発頭痛は馴染みがないでしょうが、実は、わたしは30歳頃の数年間これに苦しみました。6月末毎年発生して2週間位目玉が飛び出るほどの痛みで仕事もできないほどでした。ある年、大阪へ勉強に行ったのですが余りの痛みにこれでは無理かと生まれて初めて頭痛薬を飲みました。これが効いたのかそれからこの頭痛が出てくることがありません。専門医に聞くとその薬では群発頭痛には効果がないそうですが不思議です。

 以下に当日の資料から頭痛の分類を紹介しましょう。

機能性慢性頭痛の鑑別
          片頭痛            緊張型頭痛        群発頭痛
性別      女性に多い         性別・年齢無関係       男性に多い

発症年齢   10~20歳で発症                       20~40代に
                                          多い

部位      片側性            両側性             片側性
         前頭部に多い        後頭部・後頚部       眼窩部・前額部 

性質      拍動性            頭重感・締め付け       えぐられるよう
                                           な激痛

程度      中・高等度の痛み      軽・中等度の痛み       激痛

随伴症状   嘔気・嘔吐・ 
         光音過敏          肩凝り・首の張り       流涙・結膜
                                          充血
                                          鼻閉・鼻汁

誘発因子   特定食物          ストレス             アルコール
         (チョコ・アーモンドなど)
         過労・寝不足・寝過ぎ
         人混み・月経など

危険な頭痛
緊急を要する頭痛や重篤な病気が隠れている頭痛もあります。これは速やかに専門医に相談するか精査が必要となります。
1、いままでにない激痛
2、精神・神経症状を示す頭痛(髄膜刺激症状や巣症状)
3、憎悪傾向を有する慢性の頭痛(鈍痛
4、発熱、関節痛、筋痛などの全身症状伴う
5、中年期以降(50歳以上)に初めて経験する頭痛発作
6、薬物乱用が疑われ治療が困難と感じられた場合
7、定型的頭痛と診断して治療を開始したが、薬剤に反応しなかった場合
8、認知症やうつ症状の一つと考えられる場合

1はくも膜下出血や緑内障が疑われます。
2は脳血管障害や腫瘍の心配があります。
3はどんな病気でも憎悪は放置できません。鈍い頭痛は脳腫瘍の場合があります。
4はインフルエンザなど感染症が疑われます。
5、頭痛は先ほど書いたように片頭痛なら10代から、群発頭痛なら20代から発症しています。歳を取って急に出てくる頭痛は要注意なのです。
6の薬物は市販の頭痛鎮痛剤のことで特殊な薬のことではありません。
7の場合何か重篤な病気の可能性もあります。
8の頭痛は器質的なものではないので対応が異なります。

心配な頭痛は脳外科もしくは神経内科への受診をお勧めします。
危険な頭痛ではないと分かったらぜひ三島治療室どうぞ。
肩の凝りや目の疲れ、ストレスなどに対応することで頭痛の軽減に役立つことでしょう。

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